地震・台風・積雪に耐える建物をつくるための設計の考え方
耐震・制震・免震の三つのアプローチとそれぞれの仕組み
地震力に対応する建物の設計には、耐震・制震・免震という三つのアプローチがあります。
耐震は、建物自体を強く・硬くすることで地震力に抵抗する方法です。
柱・壁・梁を強化し、揺れに対して建物が壊れないようにします。
最も基本的なアプローチで、多くの建物で採用されています。
制震は、建物の内部に振動を吸収する装置(ダンパー)を設置する方法です。
地震の揺れのエネルギーを熱などに変換して吸収し、揺れを小さくします。
超高層ビルや大規模建築に多く用いられます。
免震は、建物と地盤の間に免震装置(アイソレーター)を設置する方法です。
地震の揺れが建物に直接伝わるのを防ぎます。
病院や行政庁舎など、地震後も機能を維持しなければならない建物に適しています。
初期コストは高いですが、建物内の揺れを大幅に抑えられます。
三つのアプローチはそれぞれ異なる原理に基づいており、建物の用途・規模・予算に応じて選択します。
建築基準法が定める構造基準と現実の設計裕度の関係
建築基準法は、建物の構造に関する最低限の基準を定めています。
現在の耐震基準は1981年の改正(新耐震基準)を基礎とし、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないことを目標としています。
ただし、「倒壊しない」という基準は、建物が損傷しないことを意味しません。
大地震後に修繕なしで使い続けられることは、法律上の要件ではありません。
実際の設計では、法律の最低基準を上回る安全率(裕度)を設けることが一般的です。
設計者は、建物の用途・想定される使用期間・施主の要望などを考慮して、基準を超えた性能を目標に設計します。
病院や学校など公共性の高い建物は、より高い耐震性能が求められることが多いです。
また、2006年の耐震偽装問題を契機に、構造計算の審査制度が強化されました。
一定規模以上の建物は、設計者とは独立した機関による構造計算適合性判定が義務づけられています。
法律の基準は最低ラインであり、実際の設計はそれを超えることを前提に行われます。